■この本の概要
決算書の読み方について私達の身近な外食産業を事例にあげて解説しているわかりやすい本です。

■この本から学んだこと

○値引きやリベート、返品の考え方
販売後、不良品などの原因で売上金額から値引きした金額や返品金額、一定以上の多額の販売をした取引先に対して売上の一部をキャッシュバックする売上割戻(リベート)を差し引いた売上が損益計算書に記載されている。

○売上原価
商品がいつ仕入れ、製造されたものであっても当期に販売されたものについてかかった費用であること。そのため期首棚卸高を売上原価に加え、期末棚卸高を売上原価から引くことを忘れてはいけない。

○法人税等について
注意するべきは利益に対してかかる税金ではなく、所得にかかる税金。その所得と損益計算書の税引前当期純利益は必ずしも一致しない。その理由は会計上と税務上の収益と費用は認識時点が異なっているから。例えば、会計では費用、損失などが発生する見込みかま高いときは、費用として認識する傾向にありますが、税務は実際に費用、損失が確定したときにしか損金として認識しません。

○当期純利益
当期純利益は貸借対照表の純資産に加えられる。

○キャッシュフローでの資産、負債
・資産
売上債権が減る→お金が回収された。→お金をプラスする。
・負債
負債が減少する。→お金を支払った。→お金はマイナスされる。

○損益計算書と貸借対照表の関係
貸借対照表の利益剰余金がどのように増えたか、減ったかを詳しく説明するものが損益計算書

○企業を分析する基本となる視点
「収益性」、「安全性」

○収益性の見方
①損益計算書の各利益があるか
②損益計算書の各利益率を他の会社と比較してみる。
③キャッシュ・フロー計算書の「営業活動によるキャッシュ・フロー」があるかみる。キャッシュフロー計算書がなければ簡易的に営業利益+減価償却費を見る。
④ROA(利益/総資産)を見る。

○営業利益率、経常利益率の基準
①1%未満であれば収益力は低い
②1〜5%前後であれば平均的な収益力
③5%前後〜10%は平均的な収益力より上
④10%以上は高い収益力

○キャッシュ・フロー計算書による収益力の判断
投資活動によるキャッシュ・フローと財務活動によるキャッシュ・フローがともにマイナスでそのマイナス金額を合算した金額より営業活動によるキャッシュ・フローが多ければお金を稼ぐ力が高い傾向にあると考える。

○ROAの見方
ROAは会社が保有する資産を使ってどれだけ利益をあげることができたのかを示す指標。ROAを試算する際の利益は通常は経常利益だが、当期純利益を使うこともある。ROAは①1%未満であれば収益力は低い。②3〜5%であれば通常の収益力。③10%を超えるのであれば収益力は高い。

○安全性の見方
①純資産がプラスかマイナスか
②自己資本比率が高いかどうか
③借入金返済期間
④現金預金の額
⑤流動資産と負債の比較
⑥回転期間、固定資産の調達先

○安全性を見るための自己資本比率
50%を超えていたら安全性は高く、20%前後を下回るのであれば安全性は低い。

○安全性を見るための借入金返済期間
借入金/営業活動によるキャッシュフロー
によって試算できる。この値が3年以下なら安全性上問題ない。5年以上なら問題はないが、やや借入金が多い。10年以上なら安全性上問題と判断できる。※キャッシュフロー計算書がない場合は営業利益+減価償却費を簡易の営業キャッシュフローとして算定する。

○安全性を見るための現金預金額
現金預金/平均月商で見ていく。この値が2ヶ月分ほどあれば十分な現金預金があると判断できる。

○安全性を見るための流動資産と負債の比較
流動資産が流動負債にある借入金よりも少ない場合は安全性がかなり低い。流動資産が流動負債と固定負債の合算金額よりも多いのであれば安全性は高い。

○安全性を見るための回転期間
安全性に問題が出てくる原因というのは、調達してきたお金がスムーズに流れずに、現金預金以外の何かの資産に固定化されてしまっているから。その固定化してしまっている資産が何かを考えるために回転期間を見る。回転期間は売上債権または棚卸資産/平均月商で求められる。この値が、1〜2であれば通常の数値、2以上であれば資金が固定化されてしまっている傾向にあると考えられる。

○安全性を見るための固定資産の調達先
固定資産は資金化されるまでに時間がかかる資産です。そのため、会社は固定資産のための費用はなるべく支払が求められない自己資本で、自己資本が足りないなら支払が長期で済む固定資産で調達しようと考えます。もし、固定資産が自己資本と固定資産の金額よりも大きい場合は短期で支払いを求められる流動負債によって資金を調達していることになるので安全性は低いと判断できる。

○損益計算書とキャッシュフロー計算書を使った総合的な収益性の分析の仕方
・見るべきポイント
①売上高と利益が前年とどう変化したか
②その変化の理由はなにか
③利益率は前年と比べてどう変化したか
④キャッシュの使い方はどうなったか

○ROEについて
ROE=ROA×(総資産/自己資本)で求められる。ROEを高めるにはROAを高くするか総資産を増やす。総資産=負債+純資産なので負債を増やせばROEは高まるが、負債が増えるので安全性は下がる。

○損益分岐点
売上高-変動費=限界利益
限界利益-固定費=利益→この利益が「0」のときの売上高が損益分岐点売上高になる。損益分岐点売上高=固定費/限界利益率で求められ、損益分岐点比率=損益分岐点売上高/実際の売上高である。

○キャッシュフロー・マージン率
営業活動によるキャッシュフロー/売上高
で求められる。これを見ることで会社がどれだけお金を稼ぐ力があるかをみる。

○貸借対照表を使った安全性の見方
①総資産金額、負債金額、純資産金額の増減②流動資産、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産、流動負債、固定負債の増減③科目の増減
上記の順番で見ていく。

○自己資本比率
自己資本比率=純資産/総資産×100
自己資本比率が高いほど純資産が多く、結果とし負債が少ないことからつぶれにくい。

○流動比率
流動比率=流動資産/流動負債×100
流動資産は流動負債より大きい方が安全面では良い。→会社がつぶれてしまうのは負債の支払いが出来ないから。
※当座比率=当座資産/流動負債×100
当座資産はより換金性の高い資産であるためこの比率が高いほど安全面では良い。

○固定長期適合比率
固定長期適合比率=固定資産/自己資本+固定負債×100で求められる。固定資産に投資したお金は回収が長期となるため固定資産に投資するお金は返済が長期で済む資金で調達したほうが安全です。この比率が100%を下回れば安全面では良い。

○債務償還年数
債務償還年数=有利子負債/営業活動によるキャッシュフローで求められる。利子を支払うべき負債である有利子負債に対して何年で返済できるかをみることができる。この値は当然少ない方が安全面では良い。

○インスタントカバレッジレシオ
インスタントカバレッジレシオ=(営業利益+受取利息+受取配当金)/支払利息
で求められる。この値は企業の支払利息の支払い能力を見るときに使います。一般的には10を超えていると支払能力は高いと言われている。

○売上債権回転期間
売上債権回転期間=売上債権/平均月商
→売上債権がどれくらいの期間で回収できるのかを示した指標。→この値が少ない方が安全面では良い。

○棚卸資産回転期間
棚卸資産回転期間=棚卸資産/平均月商
→棚卸資産がどれくらいの期間で出荷されているのかを示した指標→この値が少ない方が安全面では良い。

○粉飾している場合も含めて、真実をあらわさない決算書を持つ会社の兆候
①売上債権、棚卸資産の回転期間が長い会社
②有形固定資産が多額な会社
③借入金が多額な会社
④事業に関係ない資産が多い会社


■この本を読んだ感想
私達の身近な牛丼チェーンの事例を出しながらわかりやすく決算書の見方を説明していて、とてもわかりやすかったです。この本をきっかけに引き続き企業の決算書を見て、比較検討していくことで自身の株式投資や仕事において同業他社の状況等や得意先状況等への理解を深めることに活かしていきたいと思います。